1974年創業。浄化槽や農業・漁業集落排水処理施設、各種プラント施設、給排水衛生設備などの設計・施工を行う林産業株式会社様。それぞれ異なる専門分野や技術を持つ多様な技術者が在籍し、設計から工事まで全工程に対応。9割の方が現場に出られている環境で全社で毎日、入力を続けてくださっています。総務部の秋國美奈子さんにお話を伺いました。
― 現場に出ている方が全体の9割を占めると伺っています。
はい。ほとんどの社員が日々現場に趣き、浄化槽、空調・給排水設備・水処理施設・ガスプラント施設の公共・民間工事などを行っています。例えば浄化槽の場合、設計から工事、調整までを一貫して自社で対応しています。全工程を一社で完結できる点は業界では珍しいようです。現場の規模に応じて1~2名で出向くこともあれば、10名ほどのチームで対応することもあり、さらに他社の方と協力することも多く、働く環境は現場ごとに異なります。年下の社員が管理を担当し、その実作業をベテラン社員が行うという組み合わせになることもあります。計画や図面と実際の現場の状況が異なる場合などには、ベテラン社員の知識と経験に助けられる場面も多々あるようです。
― 全社で導入いただいた中で、秋國様には最初、管理者ではなく「ユーザー」としてトレニアを始めていただきました。
導入当初は総務部の別の者が管理者だったので、私は1ユーザーとしてトレニアと出合いました。もともと弊社は、ベテラン社員と若手社員との「世代ギャップ」が大きな課題でした。トレニアを始める際には、代表から「上司から部下に直接言いづらいけれど大切なことをトレニアを通じて共有して、社員全員で意識を高めていきたい」という説明がありました。実際に始めてみると、体調、睡眠に続いて、クイズが出題されるというシンプルなもので、最初は「これはなんだろう?」と戸惑いもありましたが(笑)、何日か続けるうちに「今日はどんな問題だろう」と楽しみになってきました。労働条件の話など「一般的にはこうなんだな」と知識が増えたり、いままで知り得なかった情報が毎日コンスタントに入ってくるので勉強になっていいものだなと感じ、同僚と「これ間違えたね」「どう思った?」などの会話が生まれるようになりました。クイズは毎日工夫されていて、よく考えつくなと楽しみにしています。ときどきユーモアのある変化球の問題もあり、それに対してベテラン社員が「桃太郎は言わんじゃろ」とつぶやいていたり(※「どの物語に出てくる言葉でしょう?」というクイズの選択肢に桃太郎があったため)、楽しみながら取り組んでいます。
― 現場に出られる方が9割、という点で、導入の難しさはありませんでしたか?
まったく問題ありませんでした。前任の担当者が、毎朝届くクイズのメールの時刻を「全員5時50分」に設定したこともあり、朝早い人も見落としなく継続できています。もともと現場で働くにあたって時間厳守の習慣があり、また法令順守の意識も高いので、トレニアも自然に浸透したように思います。
― 管理者として、データをどのように見ていただいていますか。
朝、体調と睡眠のチェックをしてクイズを解き、「どれくらいできているか」と「どれくらい重要だと思うか」を入力する。そして帰りに「どれくらいできたか」1日を振り返る。とてもシンプルな仕組みですが、気軽に答えられる日々のデータの積み重ねだからこそ、個性が見えてくると感じています。とくに重要度(クイズの内容をどれくらい大切だと思うか)は、自分で回答していても「自分の気持ちに嘘はつけない」と感じます。弊社の規模(約30名)で、このように1人1人の傾向を数値化して確認したり、全社を見渡せるようなツールがいままでなかったので、興味深さを感じると同時に、広く活用できそうだと期待しています。評価項目としても、「決められたことができるかどうか」を測る指標としてトレニアの入力状況を今期から追加しました。今後は中途採用試験時にも、採用基準の一つとしてトレニアの設問を活用できるのではないかと考えています。また、身近なところではコンディションのチェックも役に立っています。とくに夏場は体調を崩す社員が多いのですが、今年は早めに気づいて対応することができました。
― 最後にメッセージがありましたらお願いします。
多くの方が、それぞれの立場で「世代間ギャップ」に悩まれていると思います。弊社も例外ではありません。建設業界では年々、働き方改革などにより働きやすい環境になってきています。若手社員にとっては、働き始めたときからそれがスタンダードである一方で、ベテラン社員はそういった保護や規制が無かった時代、危険や厳しい環境で生き抜いてきた経験がバックグラウンドにあります。冒頭でお話したとおり、そういった経験が、想定外やトラブルへの対応力であったり、若手にとって知見が広がる機会になっている一方で、お互いのスタンダードが異なる、そのギャップへの戸惑いもあります。どちらがいい悪いではなく、時代と世代のはざまで皆が葛藤を抱えています。私自身は総務としては管理者側、世代としては若手に近い視点を持ち、双方の歯がゆさを受け止めながら、このギャップを埋めたいとずっと考えてきました。いまトレニアがあることで、若手社員は知識を得て成長でき、ベテラン社員も新しい価値観に気づく機会を得られるようになりました。若手社員は、厳しいことでも直接指摘されるのではなく、アプリを通じて学ぶことで受け止めやすいようです。ベテラン社員が自身の認識のズレに気づき、「今日のトレニアどう思った?」と周囲に確認している様子も見られます。
世代間のギャップを埋めるには、一方が我慢したり合わせたりするのではなく、何かを媒介に橋渡しをするアプローチがよいのだと思います。最近では、「トレニアでこんな問題を出して欲しい」という要望も出るようになりました。世代間を「つなぐもの」としてのトレニアに、社内で期待が寄せられているのを感じています。もちろん私自身も、とても期待しています。
― 本日はお忙しいところありがとうございました。