
ツーバイフォー工法に特化した構造設計・建築確認申請代行を主業務とする一級建築士事務所。設立5年目にあたる2024年の春から、20代の若手の方を中心にトレニアをご利用いただいています。社長の弦巻義範様にお話を伺いました。
― 皆様のお仕事内容を教えてください。
建築士や設計士として、ツーバイフォー建築物の構造設計や建築確認申請の代行などを行っています。工務店や設計事務所が主なお客様です。弊社の特徴として、社員一人ひとりが自分の顧客を持つ「担当制」を採用し、進行管理も含めて全ての仕事を「自分の責任」として進めてもらっています。建築士は、会社ではもちろん、定年後も長く続けられる仕事ですので、将来的に自立できる力を全員に身につけてほしいという思いからこのような形にしています。
社内の年齢層は大まかに、40代の私たち役員と20代の若手に分かれます。最年少は今年専門学校を卒業したばかりの20歳です。そのほか、2020年の会社設立時に新卒で入社したメンバーはいま20代半ばになっていて、その上に社会人10年目くらいのメンバーがいます。基本的に全員、同じフロアで机を並べて作業を進めています。
― トレニアを導入いただいた背景を教えてください。
社会人として働く上でのビジネスマナー、例えば電話応対などはもちろん社内でも伝えていますが、細かいところまでフォローできていないことが気がかりでした。まさにトレニアに出てくるような、お客様への配慮、ちょっとした言葉の選び方などは、問題が表面化しなければ、なかなか改まって伝える機会がないものです。研修という選択肢もありますが、できれば「やらされ感」ではなく、自分で感じ取ってもらえるものがよいと思っていました。
また、これは漠然とですが、みんなに「やりがい」を持って働いてほしいという気持ちがあります。少し前のトレニアで、「自分のことばかり考えていると心の不調を招いたりキャリア形成が滞りやすい。「他者への貢献」という視点で状況を捉え直すことで道が開けていく」という話がありました。長く健全に仕事を続けてもらうために、こういった大切なことに気づくきっかけになる言葉を伝えていきたいと考えていました。
― 伝えたい思いがあっても、伝え方は難しいですね。
私自身、若い頃には「働く意味」がわからず悶々としている時期もあったのですが、その頃に、いまも大切にしている言葉を掛けてくれた上司との出会いがありました。上司は10代で単身渡米し、英語も話せない状態からアメリカで自分の会社を立ち上げた方で、その方から幾度となく掛けられた「お前、幸せか?」という言葉が私の仕事観を変えてくれました。「そうだ、幸せになるために働くんだ」と考えたとき、「では、幸せにつながる仕事とは?」という問いが生まれます。自分のことばかり考えていると、むしろ幸せは遠ざかってしまう。まさにトレニアで繰り返し言われているような、他者への配慮、礼儀作法など当たり前のことの積み重ねこそが大切なのだと気づきました。当たり前のことをきちんと積み重ねるからこそ、真剣に仕事をするからこそ、周囲との信頼関係が築かれていく。困ったときに助けてもらえる、自分も助けたいと思う。そんな好循環が生まれる仕事をしなくてはと思うようになったんです。それが信念になり、この会社を立ち上げることにもつながりました。
そこに縁あって集まってくれたのがいまのメンバーです。だからこそ、みんなには仕事を通じて幸せになって欲しい、どこかのタイミングで自分の人生を振り返ったとき、「いい人生だったな」と感じて欲しいと思っています。信念は自ら気づくことでしか得られないものですが、私にとっての「幸せか?」という上司の言葉と同じように、何かが媒介になることはあるはずです。そのためにはたくさんの良質な言葉に触れることが大切で、私の言葉ではなくても、普遍的なことを日々伝えられたらよいと考えていました。そこに対してトレニアはちょうどよく、1日1問のクイズを通じて色々なことを伝えてもらえます。入力結果のデータを見ると、みんながちゃんと読んで、考えてくれていることが見て取れるので、すぐに劇的な変化は起きなくても、伝え続けていくことに意味があると考えています。
― 弦巻様も毎日クイズに回答してくださっていますが、内容はいかがですか?
バランスよく色々なことが学べて、毎日誰かがその日のクイズに響いている、そんな状態が作れていると思います。敬語や上座・下座などの基本的なビジネスマナーも大事ですし、相手の立場に立って考えること、マイナスの気分を表情や態度に出さないこと、同じ内容でも伝え方で変わることなど、私自身もできているだろうかと考えさせられます。ときどきクイズを間違えることもあって、そのときは自分の考え方の傾向に気づけたりもします。若手のメンバーにとっては、まだ経験していないことや当事者として響いてこない内容もあると思いますが、それも含めていい影響が生まれていると思います。
― トレニアは従業員様へのメッセージを第三者の立場から間接的に伝えるものですが、最近、会社から直接、何かメッセージを伝えたことはありますか?
ちょうど先月、期が変わったタイミングで、全員に向けて「個人ではなく組織の一員としての意識を持ってほしい」という話をしたところです。仕事柄、どうしても自分の担当案件をこなすことに意識が集中しやすく、それは責任感ゆえだと思うのですが、もう少し周りを見て、誰かが忙しそうにしていたら帰る前にひと声掛けるなど、「困った時はお互い様」という気持ちを大切にしてほしいと伝えました。いま社内で特に「これ」という問題が起きているわけではないのですが、私の個人的な感覚として、「もう少し他人に対する関心を持てるとよいのでは」と感じることは時々あります。
― よくZ世代の方は「ドライ」だと言われます。それは仕事にどのような影響があると思われますか?
他者への関心は、そのまま仕事に取り組む姿勢につながるのではないかと思っています。例えば何かミスをしたとき、私が若い頃には「じゃあ報告書を書いて」「対策を書いて」といったことをよくやらされました。そこで気づいたのは、報告や対策を表面的に書いて終わりにするのではなく、それを通じて「仕事や相手に対して誠実ではなかった自分を戒める」、その気持ちが大切だということです。その気持ちがなければ、結局、反省も改善も行動に落とし込めない。些細なことに思えたり、周りがいいよと言ってくれたとしても、自分がそれを軽視していたらやっぱりだめで、小さい芽を一つひとつ潰していけるかどうかが、その人の誠実さを作るのだと思います。そして、その根幹にあるのは、仕事を頼んでくれた相手や関係者といった「他者」に対する気持ちです。いま私がそれを意識し、緊張感を持って仕事できているのは、昔、上から厳しく言われた経験が生きているからだと思います。当時は「この野郎」と思いましたし(笑)、昭和に戻ればよいとは思いませんが、今の若い世代がドライに見えたり、危機感を持ちづらかったりする背景には、熱量を持って厳しく接せられる経験が少なかったこともあるのかなとは感じます。昔の、周りに叱ってくれる人がいた環境というのは、今思えば悪くなかったのかなと。とはいえ時代が戻ることはないので、いまできることとして、トレニアを活用しながら、大切なことを地道に伝えていきたいと思っています。
― 最後に、今後の展望についてお聞かせください。
「みんなに幸せになって欲しい」ということに尽きます。ただそれは、何もせずに与えられる快楽ではなく、日々の中で成長していくことで自らが見つけ出していく幸せです。仕事はしんどいことの連続にも思えますが、そのしんどさの中で手を抜かないこと、相手のために働くことでしか得られないものがあります。一人ひとりが自分のお客様を持っている責任の中で、いいことをすればいいことが、悪いことをすれば悪い結果が返ってくる、この環境の中で「自立」していってほしいと考えています。必ずしもフィードバックがすぐに返ってこないこともあります。「この程度でいいだろう」と手を抜いた仕事で、そのとき相手から何も言われなくても次から声が掛からなくなる。そういうシビアな形で後で返ってくるものです。だから何事も軽んじず、何のためにやるのかを考えて向き合うことが大切です。トレニアも同じで、手軽にできるこの1、2分を、自分と向き合う大切な時間として取り組んでほしいと思っています。これから先、例えば独立してお客様とより親密な関係を築いていくことになったりすれば、あいさつでも気遣いでも、「これがないと本当に駄目なんだ」と身にしみるようになります。トレニアを始めて2年経ち、クイズには全員がほぼ100%正解できるようになりました。ここから「わかっているけど、全部はできないんだよね」というところを見つめ直していくことが大切で、クイズに正解できてからがスタートだと考えています。
― 本日はお忙しいところありがとうございました。